SASUKEの話
出会い
空き地を歩いていると、どこからか猫の声がするので
あたりを見渡すのだが見つからない。
大きな木があったので見上げてみると、そこに猫がいた。
キジトラ短毛の地域猫だ。
にゃーにゃーと鳴き続けるので「降りられなくなったのかな」と思い
なんとかして私も登ってみようとするが、難しい。
助走をつけて太い枝に捕まる。
しかし、地面から結構距離がある枝に捕まったので着地する時は膝を痛めそうだ。
まぁ、とりあえず救出だ。と腕に力を入れた瞬間。
猫がさささっと木から飛び降りて、どこかに行ってしまった。
これが木登り大好きSASUKEとの出会いだった。
![](https://melo-neko41.com/wp-content/uploads/2021/02/相関図-2-724x1024.jpeg)
エピソード
私は猫を飼っている友人から送られてきた動画をコレクションしている。
大好物の餌に興奮する猫の動画がお気に入りで時間が空いたら良く眺めていた。
いつものように、動画を眺めている時にふと思った。
「この動画を他の猫に見せてみよう」
私は、地域猫をよく見かける場所に出向いてSASUKEを探した。
草陰から出てきたSASUKEがこちらに向かって来たので動画を見せてみた。
SASUKEは携帯から聞こえる猫の声に反応して、周りを見ている。
動画と音声(猫の鳴き声)を別に捉えているのだろうか。
キョロキョロが止まらなかった。
数日経ったある日、地域猫のたまり場を歩いていると
しっぱが縦にピーンと立てたSASUKEが猛ダッシュでこちらに走ってきた。
いつでも逃げられる距離2mをキープして、私の前に座り盛大に鳴き出した。
ぎゃおーーーん
ぎゃおーーーん・・・10回ほど連続で叫び出したので、怖くなった私は走ってその場から逃げた。
その日の夜。
SASUKEにギャン鳴きされたことを動画の送り主に話すと
「ウチの猫が仮に”わーい、ご飯だー、ご飯だー!”って鳴いてたとしたら、SASUKEって子は、キミを”ご飯をくれる人”って思ったんじゃない?」
「そうなの?」
「わからないけど、その鳴き方はいつもと違うわけでしょ?」
「うん、スト2でブランカが勝った時みたいな鳴き方だった」
「ブランカって何?」
・
・
・
・
餌をくれる人と地域猫に認識されたら厄介じゃないだろうか?と考えた俺は
たまり場付近を歩くのが怖くなった。
たまり場を避けて移動する日々を過ごしていたある日、ばったりSASUKEに会ってしまった。
「! まずい大合唱されるぞ!」
戦慄が走る私。
私の中心に半径2mの円を描くように歩き出すSASUKE。
3周したSASUKEが正面に座った。
沈黙
にゃおん
にゃおん(か細い高音)
鳴き声を変えてきた。
にゃおん にゃおん(か細い高音)
餌をくれなかった理由は声が大きかったからでしょう?と言わんばかりである。
そうして私は、近所の地域猫にどっぷりハマっていくことになったのだった。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません